移行点
移行点(いこうてん)とは北海道大学の学部学科振り分けに使われる個人単位の数値であり、指定された科目群で算出する専用GPAのことである。
概要[編集]
北海道大学の一年生は学部未所属の総合教育部として一年を過ごし、全学教育科目の成績を元にした移行点の高い順に希望学部への配属が優先的に行われる。ただし、多くの文系学部(総合文系以外)や医学部・歯学部・獣医学部、そして後期入試入学者とフロンティア入試入学者(旧AO入試)は入学時点で学部がすでに決定しておるため、転部を考えない限りは必要のない概念である。[1]
卒業に必要な単位数は40~46単位であるものの、移行点に使われる科目はそれより少ない。移行点計算に使われる単位数は理系で38単位、文系と保健学科は(文系と保健学科なので)32単位である。
移行点に算入する科目は「〜科目から〜単位」というように枠が決められている(例:理系の場合「共通科目から4単位」)。それぞれの枠で成績が良い順に算入されていくため、悪い成績を取っても同じ枠の他科目で良い成績を取れば悪い成績を追い出せる場合がある。よって学期GPAを遥かに超える点数を獲得し進級をする猛者もいる。ただし、理系の場合化学Ⅰ・Ⅱは追い出し不可能である。(令和4年度までは物理Ⅰ・Ⅱも固定となっていた。これにより高校で生物選択であった者達が多大なるハンデを持っていた。)
落単・抽選落ち・履修ミス等で枠が埋まらなくても、移行点としてはその分が0点として計算されるだけで、留年が確定するわけではない(32単位取れば進級は可能、卒業要件によっては教養棟通いとなる場合はある)。また、GPAとは異なり落単した分は0点となる。
移行点とは希望学部へ行けなかった多くの者の憎悪と怨念であり、軽々しく話題にすることは憚られる。
移行点のトップに位置するのはもちろん医学部医学科や獣医学部であるが、総合教育部からの移行はそれぞれ10人、5人しかできないためほぼ関係ない。本当に入りたい人は普通に学部別入試で合格してくれ。このルートで進級する生徒はほぼ全ての科目でAかA+の成績を取っている秀才の中の秀才(楽単最適化モンスター笑)である。
毎年移行点の上位にランクインするのは農学部や薬学部、工学部応用理工系学科応用化学コース(ノーベル賞受賞者の鈴木章氏がおられた所)、工学部情報エレクトロニクス学科、理学部生物科学科などである。
逆に、毎年地べたを這いずり回っているのは理学部の数学科、化学科、地球惑星科学科、工学部では応用理工系学科応用物理工学コース、環境社会学科建築都市コース(このコースは最近上がってきている)、水産学部の一部である。
ちなみに、北大プライド高いキモイ学部ランキングと女子の多い学部ランキング(保健学科を除く)は移行点の高さとおおむね比例する。各学部ごとに移行点の特徴を解説しよう。
農学部[編集]
北海道大学といえば農学部というブランドイメージがある。北大がもともと札幌農学校として誕生したこともあり、看板学部として毎年高い人気を誇る。農学部が看板の総合大学なんて全国見渡しても北大くらいだろうが、北の離島でお国に貢献できることなんて農学くらいなので仕方無い。移行点は当然高い。
よく北大の紹介写真に使われている安田講堂のコンクリコピーのような講堂も農学部である。とにかく、北大といえば緑いっぱいの大自然=農学部みたいな発想があるのは間違いない。北大に入学してきた多くの総合理系生(体感では5割)が「農学部行きたいです」と言っている。
しかし大半の「農学部行きたいです」はとりあえず言ってみた言わば虚構である。高い移行点というのは10代の貴重な一年を費やして初めて得られるものだ。4月に目を輝かせて農学部に行きたいと言っていた一年生たちは10月もなかばになるころ、「農学部は無理です」「やりたいことは違った」と目を伏せながらつぶやくのである。しかし安心してほしい、君のやりたいことは大抵の場合農学じゃない。(農学研究は突き詰めれば生物学と化学と地学である。)
とはいえ、特にやりたいことがない総合理系生は農学部を志望しておくことをオススメする。とりあえず農学部を目指しておけば、後で志望が変わっても大抵の学部学科には移行できるからだ。
薬学部[編集]
薬学部薬学科の移行点が高いのもそんなに不思議ではないだろう。薬剤師になれるのだから。
しかし、薬科学科の移行点が高いのはタピオカブームである。薬剤師になれるわけでもなく、研究者になるわけでもないのに薬科学科に所属している多くの学生は、薬学科に行きたかったけど行けないからしかたなく、せめて薬学部内の学科にと思ったタピオカブーマーである。薬学科の恩恵に預かっているだけだ。 彼らに移行点マウントを取られたら「でも薬科学科じゃん」と心の中でバカにしよう。
工学部 [編集]
- 情エレ
工学部の情報エレクトロニクス学科は就職的な利点が多くある上、近年「あいてぃーえんじにあ」や「でーたさいえんてぃすと」の価値が上がってきていることもあり、実利的な意味で毎年人気である。特に情報理工やメディアの移行点は情エレの中でも頭一つ抜けている。農学部の看板学科に匹敵するほどだ。それ以外のコースもそれなりに高い点数が必要になる。
- 応用化学
応用化学コースの学生は自分が賢いことを鼻にかけていて、バカでもできる農学を蹴ってあえて応用化学コースに入ることをステータスだと思っている節がある。理学部化学科の連中を内心下に見ている。
- 応用物理工学
比較的移行点が低い。一部の人にとっては研究内容は魅力的だが、電子素子について研究したいなら情エレの電電の方がいいと思う。
- 環境社会工学科
比較的移行点が低い。総合理系で1年過ごしたものの、やりたい事が見つからずなんとなくで移行する人が多いイメージ。 北大の土木は全国的にみてもかなり伝統的で、就職も良いため移行点のコスパが良い。
理学部[編集]
おそらく理学部の中で最も人気な学科。生き物大好きな人が集まるため高い。そして女子率が高い。 たいていの生物科学科生は、四月の入学時点からこの学科への進学を希望している印象。 なお生物科学科のなかでも生物学専攻と高分子機能学専攻とに分かれている。これは生物という研究対象のスケールの違いである。基本的に人気は生物学>高分子機能学である。
2つの学科が合併した経緯があり定員が多いため、移行点は理学部最低クラス。全学教育科目の化学が(色んな意味で)優しくないのも原因らしい。
しかし実績や研究レベルは、農学部や薬学部、高分子などの他の化学系よりは高いようである。 理学部の割にかなり就職が良い。
その過酷さゆえ3Kなどと言われてるが、以前行われたカリキュラム変更以降、医歯薬系ほどの忙しさはなくなった。 教授は優しくてフレンドリーな人が多い。 女子率もそれなりに高いので女子も入りやすい学科。 宇宙飛行士の毛利衛さんやノーベル賞受賞者の鈴木章先生を輩出している。
長らく移行点の最底辺を這いつくばってきたが、近年の物理系ブームに乗ってぐんぐん移行点を伸ばしている要注意学科である。2024年には生物化学科と並んで理学部で最も移行点の高い学科となった。女子が少ない。定員が少ない。必修科目が少ないので結構自由がある。
医学部[編集]
移行点は公表していない。しかし看護学専攻は移行者0人または定員割れの年がほとんどである。そもそも学部別入試で入る方がよっぽど楽。
水産学部 [編集]
移行点の最底辺である。
この学部の生徒は2年次までは札幌で勉強するのだが3年次からは函館キャンパスで勉強する。しかし札幌の自宅から函館キャンパスに通学することは不可能である。つまり途中で函館送りになるというほぼこの一点で学生からの人気を落としているという、なんとも不遇な学部である。
学部の特色上海に面した所に設置する必要があるので仕方ないともいえるが、札幌⇄函館間の公共アクセスが
- 片道5時間を超える高速バス
- 片道約3時間半〜4時間でバスの2倍料金がかかる特急[2]
- 片道約40分だが高価な飛行機
と、どれも微妙なのも問題か。(新幹線はまだか?) 「せめて小樽か石狩だったら…」と思う学生は少なくないだろう。
というのが通説だが、総合理系の学生の中には海洋生物科学科や増殖生命科学科を志望する人もそれなりに存在する。しかし学部別入試を実施しているので、最初からそっちで入った方が楽なのは言うまでもない。
ちなみに、上記工学部の情エレの文に「就職的な利点が多くある上、近年『あいてぃーえんじにあ』や『でーたさいえんてぃすと』の価値が上がってきていることもあり、実利的な意味で堅実に高い。」とあるが、水産学部、特に海洋資源科学科でも、就職活動において多少有利になるようなプログラミングは学ぶし、研究においてはバリバリ利用する。
大半の高校生と大学1年生は「水産学部はさかなクンでしょ、釣りばかりしてプログラミングなんてしないでしょ」と偏見を持っているものと思われる。しかし水産学部に限らず、総合理系生達は「その学部学科がどんな講義を行っているのか」「何を研究しているのか」「どんな所に就職しているのか」など、しっかり調査をしてから、自身の移行先を検討するべきである。タピオカブームや、格好いい名前の学科に惑わされてはいけない。
問題点[編集]
さて、いままで見てきたように移行点が低い学科の特徴はほぼ一緒である。水産学部はキャンパスが函館とかいう僻地にあるので低くなるのは当然として、その他の学科は、「数学を使う」or「何をやっているのかよくわからない」である。つまり実利的でないのである。
というより、もっと言うと北大生は北大生なのでそのおつむを精一杯ひねっても、世界や人間を形づくる背景に存在する論理に全くロマンを見いだせないのである。
北大は数物系の人気が軒並み低いがそのことを嘆く記事が工学部の学科紹介雑誌に掲載された。その内容を少し引用しよう。
「応物コース紹介哀史」(浅野康寛准教授):総合入試が始まって10年近くが経ち、その光と影がはっきしてきた。--数物の基礎科学系の学科が軒並み不人気にさらされ、特に応物人気の凋落は著しい。全国的にみて数物系が不人気というわけではないので、これが総合入試による北大のブランドイメージの帰結である。--数物系はあふれた学生の受け皿となる傾向が続いている。--全学教育の競争に疲れ、たいして興味のない学問を専攻するはめになった学生もまた、相当に気の毒である。実際、コース配属後に就学に苦労する学生の多いことがさらに不人気を助長する、という渦中に応物はいるのである。初めのころはコース紹介を盛り上げようとアイデアを出して展示やプレゼンも改善したし、院生の支援を受けてフレンドリーな雰囲気も作った。しかし、来場する学生数は緩やかな下り坂。「カンコ鳥でもいないよりマシ」状態となり、さらに負けが込んでくる。改善の意欲が失われ、熱心に質問してくれる学生の来場を素直に喜べなくなる。迎える笑顔がカタい。挙句の果てに、研究・教育内容の説明もウソくさくなる・・・。これが負のスパイラルである。イベントの手ごたえなど、感じられるはずもない。その一方、黙っていても学生がやってくる人気学科・学部の中には、コース紹介をしないところも出てきて、まさに総合入試の光と影である。マグマは溜まっている。応物教員にとって、コース紹介の担当は苦痛である。--来年?農学部応物コースで参戦の予定である。
ちなみに、かつて3K(化学科、看護学科、建築都市コース)の一角をなし移行点が低空飛行を続けていた建築都市コースは2017年移行の意識高い層の出現によって正のスパイラルに乗りつつある。以前は移行点2.6などで落ちこぼれの代名詞ともなっていたが、建築で表現(笑)をしたい人々(instagramにイラストレーターで作った自作の名刺を載せたりするような人)が2017年に集中したこともあり、移行点が上がり、その結果ブランドイメージが改善され、次の代も移行点が高くなるという現象が起きている。意匠がやりたいなら美大行けばいいのに。とはいうものの教員にもその傾向があるようでみてくれ重視でガラス張りで建てられた建築棟は暑くて本当に最悪の環境だし、建築コースの圧力により作られた本図書館のメディアコートは誰も使い方のわからない圧倒的無駄スペースと化している。
ミスマッチを防ぐ目的だとか何かあったらしいが,総合理系で1年間悩もうが,学部別入試で入ろうが,所詮,高校生~大学1年生の頭。学部の本質,良さなんて分かるはずもない。実際に入って卒業しないと分からない。
大学1年の頃は「移行点が低い〇〇に入りたくない、〇〇は嫌だ、〇〇は馬鹿にされる、〇〇はレベル低い」というモチベーションで勉強を頑張るのも良いが、ごくたまに大学3、4年にもなって言い続けているアホタレがいる。普通に関わらないほうが良い。医療系を除き、同じ北大、レベルに大差は無い。どうしてもやりたい研究があるなら別だが(所詮北大生、そんな学生は全体の1%にも満たないと思うが)。学部生活が楽しいかどうかは、本人の努力次第である。
参考[編集]
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関連項目[編集]
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