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移行点

提供: 北大Wiki
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移行点(いこうてん)とは北海道大学の学部学科振り分けに使われる個人単位の数値であり、指定された科目群で算出する特殊GPAのことである。

概要[編集]

北海道大学に入学した学生は、学部未所属の総合教育部所属としてフレッシュマンイヤーを過ごす。その後、二年次以降の学部配属は成績の高い順に優先的に行われる。つまりこれは学部配属のための成績競争であり、その評価の基準となるのがこの「移行点」である。 ほとんどの文系学生(総合文系所属以外)や医学部歯学部獣医学部、そして後期入試入学者とフロンティア入試入学者(旧AO入試)は入学時点で学部がすでに決定しているため、とくに移行点を考慮する必要は無い。[1]


卒業に必要な単位数は40~46単位であるものの、移行点の計算に用いられる単位数はそれより少ない。移行点計算に用いられるのは理系学生で38単位、文系学生と保健学科所属生で32単位である。


移行点に算入する科目は「〇〇科目から✕単位」というように枠が決められている(例:理系の場合「共通科目から4単位」)。それぞれの枠で成績が良い順に算入されていくため、悪い成績を取っても同じ枠の他科目で良い成績を取れば悪い成績を帳消しにできる場合がある(これを「追い出す」と言う)。ただし、理系の場合化学Ⅰ・Ⅱは追い出し不可能である。[2] 抽選落ち・履修ミス等で取得単位数が埋まらなくても、移行点はその分を0点として計算するだけで、留年が確定するわけではない(32単位取れば進級は可能、卒業要件によっては教養棟通いとなる場合はある)。また、GPAとは異なり落単した科目の移行点は0点として計算される。


移行点とは希望学部へ行けなかった多くの者の憎悪と怨念であり、軽々しく話題にすることは憚られる。


振り分け希望先の学部学科は一度につき3つまで提出できるが、これも移行点の高い人ほど有利に扱われる。 たとえば移行点4.0で理学部数学科が第2希望のAさんと、移行点3.5で理学部数学科が第1希望のBさんでは、移行点の高いAさんの意向が優先されることになる。


移行点のトップに位置するのはもちろん医学部医学科獣医学部であるが、総合教育部からの移行枠はそれぞれ5〜10人程度しか無いため、ほとんどの学生にとっては関係ない世界だ。このルートで進級する生徒はほぼ全ての科目でA+の成績を取っている秀才の中の秀才(楽単最適化モンスター)である。  


毎年移行点の上位にランクインするのは農学部薬学部工学部情報エレクトロニクス学科理学部生物科学科などである。文系ならば文学部法学部も高い。

逆に、毎年最下位争いをするのは理学部数学科化学科地球惑星科学科工学部環境社会工学科医学部保健学科水産学部などである。経済学部教育学部もかなり低い。  


ちなみに、北大プライド高い学部ランキングと女子の多い学部ランキング(保健学科を除く)は移行点の高さとおおむね比例する。各学部ごとに移行点の特徴を解説しよう。

農学部[編集]

北海道大学といえば農学部というブランドイメージがある。北大がもともと札幌農学校として誕生したこともあり、看板学部として毎年高い人気を誇る。農学部が看板の総合大学なんて全国見渡しても北大くらいだろうが、北の離島でお国に貢献できることなんて農学くらいなので仕方無い。当然、移行点は高い。

よく北大の紹介写真に使われている安田講堂のコンクリコピーのような講堂も農学部である。とにかく、北大といえば緑いっぱいの大自然→農学部みたいな発想があるのは間違いない。北大に入学してきた多くの総合理系生(体感では5割)が「農学部に行きたいです」と言っている。

しかし大半の「農学部に行きたいです」はとりあえず言ってみただけの虚構である。高い移行点というのは10代の貴重な一年を費やして初めて得られるものだ。4月に目を輝かせて農学部に行きたいと言っていた一年生は皆、10月なかばになる頃合い「農学部は無理です」「やりたいことは違った」と目を伏せながらつぶやくのである。しかし安心してほしい、君のやりたいことはどうせ農学じゃないから。(農学研究は突き詰めれば生物学と化学と地学である。)

とはいえ、特にやりたいことがない総合理系生は農学部を志望しておくことをオススメする。とりあえず農学部を目指しておけば、後で志望が変わっても大抵の学部学科には移行できるからだ。

薬学部[編集]

薬学部薬学科の移行点が高いのもさほど不思議ではないだろう。薬剤師になれるのだから。

しかし、薬科学科の移行点が高いのは全く謎である。薬剤師になれるわけでもなく、研究者志望という訳でもないのに薬科学科に所属している多くの学生達。おそらく彼らのほとんどは、薬学科に行きたかったけど移行点が足りないため仕方なく、せめて薬学部に滑り込もうと考えたタピオカブーマーだろう。薬学科の恩恵に預かっているだけだ。 彼らに移行点マウントを取られたら「でもきみ薬科学科じゃん」と心の中でバカにしよう。

工学部 [編集]

工学部の情報エレクトロニクス学科は就職的な利点が多くある上、近年「あいてぃーえんじにあ」や「でーたさいえんてぃすと」の価値が上がってきていることもあり、実利的な意味で毎年人気である。特に情報理工メディアの移行点は情エレの中でも頭一つ抜けている。農学部の看板学科に匹敵するほどだ。それ以外のコースもそれなりに高い点数が必要になる。


応用化学コースの学生は自分が賢いことを鼻にかけていて、バカでもできる農学を蹴ってあえて応用化学コースに入ることをステータスだと思っている節がある。そして理学部化学科の連中を内心下に見ている。一方、応用物理コースは移行点が低い。一部の人にとっては研究内容は魅力的だが、電子素子について研究したいなら情エレの電電の方がいいと思う。応用マテリアル工学コースは影が薄い。


比較的移行点が低い。総合理系で1年過ごしたものの、やりたい事が見つからずなんとなくで移行する人が多いイメージ。 北大の土木は全国的にみてもかなり伝統的で、就職も良いため移行点のコスパが良い。

理学部[編集]

おそらく理学部の中で最も人気な学科。生き物大好きな人が集まるため移行点が高い。そして女子率が高い。 たいていの生物科学科生は、1年生四月の入学時点からこの学科への進学を希望している印象がある。 なお生物科学科のなかでも生物学専攻高分子機能学専攻とに分かれている。これは生物という研究対象のスケールの違いである。基本的に人気は生物学>高分子機能学である。


2つの学科が合併した経緯があり定員が多いため、移行点は理学部最低クラス。全学教育科目化学が(色んな意味で)優しくないのも原因らしい。 その過酷さゆえ3Kなどと言われてるが、以前行われたカリキュラム変更のおかげで医歯薬系ほどの忙しさはなくなった。 理学部の割にかなり就職が強い。化学分野での実績・研究レベルにおいても、看板学部の農学部や薬学部、理学部高分子より高いようである。(まあノーベル賞も二名出してるし…)

いい意味でも悪い意味でも話題が多い。


毎年、化学科物理学科地球惑星科学科と理学部の最底移行点争いを演じている。だいたい最下位。卒論がない。不人気学部のイメージが強いが、近年は情報系ブームで密かに熱いかもしれない。


長らく移行点の最底辺を這いつくばってきたが、近年の物理系ブームに乗ってぐんぐん移行点を伸ばしている要注意学科である。2024年には生物化学科と並んで理学部で最も移行点の高い学科となった。女子が少ない。定員が少ない。必修科目が少ないので結構自由がある。


定員数が多いため移行点はそこまで高くない。興味のある学生はこの地球惑星科学科しか見えない一方で、興味のない学生にとっては本当にどうでもいい学科。 北大でも数少ない地学を専門に学べる場所だが、生物学・物理学・数学・化学をフルに使う場所でもあるので志望者は要注意。北海道の大地を活かして火山活動から気象、災害、鉱物、化石、古生物、果ては太陽系内の宇宙[3]などを幅広く研究している。

医学部[編集]

努力の天才しか行けない。定員5名。[4]一般入試で入るより狭き門かもしれない。


移行点は公表していない。しかし看護学専攻は移行者0人または定員割れの年がほとんどである。そもそも学部別入試で入る方がよっぽど楽。

文系学部[編集]

文系移行の最難関はおそらく文学部だろう。移行点は3.5以上欲しい。文学部は学部別入試でも偏差値が比較的高く、北大文系の中では最も人気学部と言えるかもしれない。理由は誰も分からない。その性質ゆえ真面目で勉強熱心な人が集まるが、一度移行してしまえばかなり暇らしい。


これまた移行点が高い。3.5程度は欲しいか。法学部はほとんどの授業で出席点が無く、また卒論も無いために、自分の時間を作ろうと思えばいくらでも作れるのが魅力。法曹志望者もちらほら。クセの有る人物が多い。


ヒマ経。暇。とりあえず移行点が低い。チャラ男から真面目クンまでいろいろな人がいる。就職はいいのでコスパ良しかも。意識の高い人もそれなりに存在する。とりあえず移行点が低い。


移行点こそ低いが、やりたいことのない学生は決まって経済学部に流れるために雰囲気がいい。アットホームで小規模。

水産学部 [編集]

移行点の最底辺である。

この学部の生徒は2年次までは札幌で勉強するのだが、3年次からは函館キャンパスで学ぶことになる。しかし札幌の自宅から函館キャンパスに通学することは不可能だ。つまり途中で函館送りになるというほぼこの一点で学生からの人気を落としているという、なんとも不遇な学部である。

学部の特色上海に面した所に設置する必要があるので仕方ないともいえるが、札幌⇄函館間の公共アクセスが

  • 片道5時間を超える高速バス
  • 片道約3時間半〜4時間でバスの2倍料金がかかる特急[5]
  • 片道約40分だが高価な飛行機

と、どれも微妙なのも問題か。(新幹線はまだか?) 「せめて小樽か苫小牧だったら…」と思う学生は少なくないだろう。

しかし、総合理系の学生の中には海洋生物科学科増殖生命科学科を志望する人も一定数存在する。彼らは1年間のモラトリアムを有効活用して、水産学部の価値に気付けた真の総合理系生である。しかし本当のところ、水産学部は学部別入試を実施しているので最初からそっちで入学した方が楽なのは言うまでもない。

ちなみに、水産学部の学問領域は中々広い。理学系分野から工学系分野、果ては経済系分野まで海に関することなら何でも学ぶことができる。 たとえば上記の工学部の情エレの文に「就職的な利点が多くある上、近年『あいてぃーえんじにあ』や『でーたさいえんてぃすと』の価値が上がってきていることもあり、実利的な意味で堅実に高い。」とあるが、水産学部、特に海洋資源科学科でも当然プログラミングは学ぶし、研究においてはバリバリ利用する。

大半の高校生と大学1年生は「水産学部はさかなクンでしょ、釣りばかりしてプログラミングなんてしないでしょ」と偏見を持っているものと思われる。しかし水産学部に限らず、総合理系生達は「その学部学科がどんな講義を行っているのか」「何を研究しているのか」「どんな企業に就職しているのか」など、きっちり調査してから、自身の移行先を検討するべきである。タピオカブームや、格好いい名前の学科に惑わされてはいけない。

問題点[編集]

さて、いままで見てきたように移行点が低い学科の特徴はほぼ一緒である。水産学部はキャンパスが函館とかいう僻地にあるので低くなるのは当然として、その他の学科は、「数学を使う」or「何をやっているのかよくわからない」である。つまり実利的でないのである。

というより、もっと言うと北大生は北大生なのでそのおつむを精一杯ひねっても、世界や人間を形づくる論理の探求に全くロマンを見いだせないのである。

北大は数物系の人気が軒並み低いが、そのことを嘆く記事が工学部の学科紹介雑誌に掲載された。その内容を少し引用しよう。


「応物コース紹介哀史」(浅野康寛准教授):総合入試が始まって10年近くが経ち、その光と影がはっきりしてきた。--数物の基礎科学系の学科が軒並み不人気にさらされ、特に応物人気の凋落は著しい。全国的にみて数物系が不人気というわけではないので、これが総合入試による北大のブランドイメージの帰結である。--数物系はあふれた学生の受け皿となる傾向が続いている。--全学教育の競争に疲れ、たいして興味のない学問を専攻するはめになった学生もまた、相当に気の毒である。実際、コース配属後に就学に苦労する学生の多いことがさらに不人気を助長する、という渦中に応物はいるのである。初めのころはコース紹介を盛り上げようとアイデアを出して展示やプレゼンも改善したし、院生の支援を受けてフレンドリーな雰囲気も作った。しかし、来場する学生数は緩やかな下り坂。「カンコ鳥でもいないよりマシ」状態となり、さらに負けが込んでくる。改善の意欲が失われ、熱心に質問してくれる学生の来場を素直に喜べなくなる。迎える笑顔がカタい。挙句の果てに、研究・教育内容の説明もウソくさくなる...。これが負のスパイラルである。イベントの手ごたえなど、感じられるはずもない。その一方、黙っていても学生がやってくる人気学科・学部の中には、コース紹介をしないところも出てきて、まさに総合入試の光と影である。マグマは溜まっている。応物教員にとって、コース紹介の担当は苦痛である。--来年?農学部応物コースで参戦の予定である。


ちなみに、かつて3K(化学科、看護学科、建築)の一角をなし人気が低迷していた建築都市コースは、2017年以降、意識高い人々によって正のスパイラルに乗りつつある。以前こそ移行点2.5台を叩き出す落ちこぼれ学科だったが、建築で自己表現をする人々(SNSにイラストレーターで作った自作の名刺を載せたりするような人)の出現が2017年に集中したことにより、移行点が上がり、その結果ブランドイメージが改善され、次の代も移行点が高くなるという現象が起きている。はっきり言って、移行点というのがその時世のトレンドに過ぎない事がよくわかる。


ミスマッチを防ぐ目的だとか何かあったらしいが、総合理系で1年間悩もうが、学部別入試で入ろうが、所詮ティーンエイジャーの判断。学部の本質や良さなんて分かるはずもない。実際に入って卒業しないことには何も語り得ないのだ。


大学1年の頃は「移行点が低い〇〇に入りたくない、〇〇は嫌だ、〇〇は馬鹿にされる、〇〇はレベル低い」というモチベーションで勉強を頑張るのも良いだろう。 しかし、ごくたまに大学3、4年にもなって言い続けているアホタレがいる。関わらないほうが良い。所詮同じ北大である。レベルに大差は無い。どうしてもやりたい研究があるなら別だが…(そんな学生は全体の1%にも満たないと思うが)。つまるところ、学部生活が充実するかどうかは、その後の本人次第である。

参考[編集]

「北大 成績分布」で検索検索ぅ!

関連項目[編集]


  1. ただし後期入学者も農・工・水・薬学部では学科/コース分属の際に分属点と呼ばれる、実質的には移行点と変わらないものを参照するため成績を気にする必要がある。またAO・フロンティア入試での入学者は転部が認められていない。
  2. 令和4年度までは物理Ⅰ・Ⅱも固定となっていた。これにより高校で生物選択であった者達が多大なるハンデを持っていた。
  3. 太陽系外の宇宙は基本的に物理学科の専門である。
  4. 2024年現在
  5. 特急に関しては、「お先にトクだ値」という常に行っているキャンペーンを用いれば、定価の4割引で特急に乗ることができる。バスの1.2倍くらいの値段になるので、快適だしこちらを利用すると良い。


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