古館カップリング

北大応用化学コースの教授だった鈴木章が「鈴木・宮浦カップリング反応」の発見の功績からノーベル賞を受賞した。

このことが報道ステーションで取り上げられた際の古舘伊知郎と鈴木章の以下やりとりと奇天烈な化学式の俗称。

古舘「先ほどVTRで流れた図が間違っておりました、左が間違いで右が正しい図です。先生、これでよろしいですよね?」

鈴木「それも違います。さっき正しい図を書いて記者の方に渡しましたよ。それが届いたでしょう?」 古舘「(ようやく正しい図を出して)これでいいですか?」

鈴木「ああ、それであってます」

古舘「(ベンゼン環の間の線を指して)これがパラジウムなんですね?」

鈴木「アァッ!?」

古舘「…これが…パラジウム、なんですよね?」

鈴木「あぁ、もう、…つまり、最終的にはその図になるということです」

古舘「アハハ、まあ、ここに到るまでが複雑だということで」

鈴木「それが出来ればノーベル賞が貰えますよ」


図の解説編集

写真で議論している図は主に有機物を対象とした化学で用いられる化学式の一種。この場合は構造式と呼ばれる。

有機物には炭素原子(C)と水素原子(H)はごく当たり前に存在するため、こういった複雑な構造になってくるとこの2つは省略される。

写真を見てのとおり、線が60°折れ曲がっているところに炭素原子がある。一重線、二重線はかなりざっくり説明すると炭素原子同士の結合の様子を表している。(上から2つめの図の右の物体のように、一重線が90°折れ曲がったり枝分かれする表記はありえない。)

なお、この構造式だが進学校の理系でも慣れるまでは多少の苦労がつきもの。さらにCとHを省略した形式は大学で初めて習う人もそこそこいる。

鈴木・宮浦カップリング編集

鈴木・宮浦カップリングとは、従来ならくっつくはずがなかった2つのベンゼン環の類を連結(カップリング)できるというものである。

この反応が開発された事で、作れる有機物の選択肢は格段に増えた。新薬、テレビの液晶などわれわれの生活に直結する物質もこの反応の世話になっていたりする。

またパラジウムは触媒であり、このカップリングの仲人さんのようなもの。中央の横線は確かにパラジウムがいなければ連結できなかった代物ではあるのだが、パラジウムそのものが出来上がった物質に含まれているわけではない。

完全に余談だが、パラジウムを化学式であらわしたいなら「Pd」。

古館氏について編集

もともと古館氏は経済学部出身でスポーツものの実況で長らく活躍してきた人なので有機化学はおそらく専門外。仮に習っていたとしても忘れていた可能性が高い。

しかし、視聴者からすればあまり関心のない構造式を根掘り葉掘り聞くよりも、この発見がどう社会の役に立つか等、を聞こうとはして欲しかったのが実情。

番組を構成するスタッフがフォローすべき部分ももちろんあり、一概にこの件古館氏ひとりの責とも言い切れないのかもしれないが。

理科教育について編集

現代科学は、基本的なところがわからないと幾らネットで調べても騙されたり内容が高度すぎて予習のしようがないというのが辛い所である。

実際、北大の教職課程の科目、「教科教育法I・II(理科)」でしばしばこの事件が理科教育の負の側面として取り上げられるとか。



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